1.イズディヤード:成長(祝う 階段 足踏み)/湊静
いいなぁ静弥はなんでもできて。昼休み、古文の宿題を見てもらいながら遼平が感嘆する。
「知ってる言葉に別の意味があったって学ぶのは楽しいよ。ちなみにここの”いはふ”は祝うじゃなくて大切にするって意味」
「うげ」
たしかに湊が静弥に「教えた」のは、弓に関する細かなことくらいだ。しかし射法を教わったときでも静弥はスムーズにこなしていて、少しがっかりしたのを覚えている。湊自身は、足踏みの段階で体重移動がよくわからず四苦八苦したものだから。
あれはあれで、階段を駆け上る様子を見ているようで危なっかしくもあった。それに静弥だって、本当になんでもできるわけじゃない。
視線がかち合って、静弥のほうから慌てたように逸らされた。だっておれたちは昨日まで、舌を絡めるキスの仕方も知らなかったのだから。
fin.

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