20.カフネ:愛する人の髪にそっと指を通す仕草(探す 白百合 髪)/マサ静
部屋にやってきた静弥から、甘い匂いがした。どこか他でも嗅いだことがある気がしたが、正体がわからずすんすん鼻を鳴らしていたら、犬ですかと呆れられる。
「母が誕生日にもらっていた花束の百合が一気に咲いてたので、それじゃないですか?」
合点がいったが、花の香りをさせるなんて、ずいぶんとかわいいことをする。無意識でも。
「静弥に似てるな」
百合の花って。イメージ的には白百合か。清潔さや、禁欲的なところとか。
「そんなことを言われて喜ぶ男はいません」
思い切りけげんな顔をされた。そういうところも、つぼみの頑なさとそっくりだと思うけど。でも最近は、何かをしている静弥のやわい髪を撫でたり梳いたりしても怒らなくなった。
つぼみが綻ぶように、日一日と変化していくところを探すこと。
それをただ見守るように楽しみたい時もあれば、犬のように暴いてしまいたい時もある。禁欲、なんてとても口にはできまい。
fin.

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