リーハ【マサ静】

8.リーハ:匂い(鈴 溶ける 空き部屋)/マサ静

噛み締めていたくちびるが、まだ少し痛む。アイスを乗せたスプーンをあてると冷たさがしみた。籠もった二人分の体温やささやかなクーラーの冷気は、換気のためと開けられた窓から入ってくるぬるい風と混ぜこぜになって、吊り下げられた風鈴がちりちり鳴っていた。
「なんで風鈴があるんですか」
「お、やっとしゃべった」
「まだ許してないですから」
隣が先月から空き部屋になったのを黙ってずいぶん好き勝手してきたくせに、アイスくらいでは許さない。睨め付けるとまた口先でだけ悪かったよと謝る。
「大人になると、夏らしいことは自らしていかなきゃ、あっという間に終わっちまうからな」
そのうちわかる。と言った声が、やけに耳にこびりつく。風鈴の音、溶けるアイス、借りた浴室のカルキの匂い。
大人になって振り返る夏に、今日は含まれているだろうか。噛んだスプーンがぬるかった。

fin.

200502
「え?!空き部屋でいけないことしてるマサ静しか思いつかない!!!」っていうのが本当の第一印象です(懺悔)
学校の空き教室とかでいけないことしてるのが好きなんですけどマサさんは教員ではないのでさすがに校舎に入るのはな〜って思って自宅に。鈴はマサさんの部屋って決めたときに風鈴にして、じゃあ夏だなと。風鈴自体は自分で買ったのではなく貰い物のイメージ。クーラーかけて閉め切った部屋の中で汗だくになることして、せやくんは普段からがんばってくちびる噛んで声抑えてるのに今日はさんざんあられもない声出させられて、「絶対隣に声聞こえてた…」って悶々しながらシャワー借りて部屋に戻ったらアイスをもらったんだけど、食べ始めたあたりで「実は隣、先月引っ越した」ってねたばらしされて怒って黙々アイス食べてた、という背景でした。長い。なんかこれプロットにしてそのままちゃんとお話書けそうですね。

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