13.プセマ:嘘(地面 大人 叩く)/マサ静
日中の気温は夏と変わらずとも、陽が暮れるのは早くなった。夕焼けで赤く染まった地面に伸びる影の色が濃い。
始めは、ちゃんと部活の話をしていたはずだ。今後の練習メニューのことだとか、当たり障りのない普通の話を。
軽口を叩くのなんていつものことだから、何が引き金になってしまったのかはわからない。
「っ、あっ……」
塞がれたくちびるに、入ってきた舌の感触。驚きすぎて抵抗もできないまま、かき乱される背徳が陶酔にすり替わる。
「なんだ。ちゃんとかわいい声も出せるんだな」
黄昏時、相手の顔もはっきり見えない。呼吸が浅い。血の巡る音がうるさい。くちびるを拭った手の甲が濡れる。
「優等生に大人のキスは、まだ早かったか?」
そんな言い方をしてくるから、うそをつくしかなくなるんだ。
fin.

※コメントは最大1000文字、5回まで送信できます