頬に落ちる、睫毛の影を見つめていた。月明かりがうるさい夜は、どうでもいいことを考える。まあわりと、整っている顔だよなとか。(俺のほうが上だけど)
大変遺憾ながら、俺はこの顔が好きらしかった。お互いの隙間を埋め合うだけの関係だったとき、理由として顔がタイプと口にしていただけのはずが、いつの間にやら。他の好きな部分は死んでも言ってやらない。
焦燥も空しさも忘れていない。今だって、夢かもしれないとガラでもないことも考える。
「あんまり見られると、照れるんだけど」
「…………起きてるなら言えよ」
なんか真剣だったから。目蓋がゆっくり開いて、困ったように笑う。その顔にいちばん弱いとか、教えてやるのは癪だから悪戯みたいにキスしてやった。
fin.

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