こちらの「キスしないと出られない部屋」をテーマにした4象限ワードパレットを使ったSS。
2024/9/22の横皆中の音7で無配にしました。キスするのを:躊躇する/消極的
キスは:しない/できない
指定ワード:後悔する 並べて 臆病
お題:海七(海←←七)
呼吸が浅くなって初めて、自分がやけに緊張していることに気づいた。鼓動の音が大きい。うんともすんともいわない扉に、次々と悪態を並べている海斗の声すらかき消すほどに。
脱出条件を知っているのは、どうやら七緒だけらしい。ポケットの中にある、条件が書かれた紙切れをぎゅっと握りしめる。いつの間に忍ばされたのかと思うけれど、同じくいつの間にか閉じこめられていることに比べれば些細だ。
条件はふたつ。相手とキスをすること。この条件を相手に伝えないこと。
意地悪じゃない? 特にふたつめ。このやろう、性格悪いぞ、くらいは言ってもいいと思う。
「おい七緒、ぼーっとしてねえで手伝えよ」
いまここで、殺気立っている海斗に「キスしよっか」だなんて、正気を疑われる。逆の立場だったら――夢だって思うかな。びっくりするけど、夢ならいいやって受け入れるかも。
「あんま乱暴なことしてもさ、体力消耗するだけっしょ?」
「悠長に言ってる場合か! くそっ、マジで開かねぇ」
臆病者を想定しているのか、部屋には二日くらいならやり過ごせそうな設備はある。条件を達成できなくても、それくらいで助けがくる見込みなのだろうか。ならこのままでもと思ってしまいそうになる案配に、やはり悪意を感じる。
でもそのころにはきっと、憔悴しきった海斗を見なければならないだろう。どっちが後悔するかは明白だ。
「かっちゃん、」
今からオレがすること、拒絶しないで目をつむって。外に出られてもずっと忘れないでいることを、どうか許してね。
fin.

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