トラモント【遼愁】

23.トラモント:日没(滲む 凪 寄り道)/遼愁

西の空で、昼と夜の境界線が滲む。茜色は青く染められ日没を告げていた。
「寒くなるとすぐ陽が暮れちゃうね」
「つるべ落とし、だね」
予定が合う日に会いに行き、二人で他愛のない話をする。何をするでもなく会う、というのが前はよくわからなかった。なのに今ではこの束の間のひと時を楽しみにしている自分がいる。
「空が赤くなると、もう帰らなきゃって焦るっていうか。寄り道せずに帰ってきなさいってよく怒られてたから」
「火星では、夕焼けが青く見えるらしいよ」
「そうなんだ、見てみたいかも」
夕陽に照らされる金色の雲を、その笑顔を、もう少し見ていたかった。きっと青い夕焼けの中でも、同じくらい惹きつけられるだろう。
凪いだ心で的を射ることはできるのに、この別れ際はいつも、どこかすこし時化っている。

fin.

200506
夕凪とか冬凪とかいろいろ考えてたんですけど、それを使うならやっぱ海がないとなーと思ってそのまま「凪」か「凪ぐ」とかで使うことに。凪→心が凪いでいる→心を波立たせることなく的前に立つ愁くんが遼平に恋したことで、湊を意識するのとはまた違う心のさざめきを感じたりしてるのは、すごく萌え!!!っていう連想です。日没で寄り道ってなるとやっぱ帰り道、滲むも選択肢が多くてわりと悩みましたが無難に空の色にしました。あとは「夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふ あまつそらなる人を恋ふとて」「きみにより思ひならひぬ世の中の 人はこれをや恋といふらむ」あたりの和歌から連想しました。今回けっこう和歌からインスピレーションを受けたものが多い。そして火星の夕焼けは本当に青いのです!!大気の関係で!!

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