23.トラモント:日没(滲む 凪 寄り道)/遼愁
西の空で、昼と夜の境界線が滲む。茜色は青く染められ日没を告げていた。
「寒くなるとすぐ陽が暮れちゃうね」
「つるべ落とし、だね」
予定が合う日に会いに行き、二人で他愛のない話をする。何をするでもなく会う、というのが前はよくわからなかった。なのに今ではこの束の間のひと時を楽しみにしている自分がいる。
「空が赤くなると、もう帰らなきゃって焦るっていうか。寄り道せずに帰ってきなさいってよく怒られてたから」
「火星では、夕焼けが青く見えるらしいよ」
「そうなんだ、見てみたいかも」
夕陽に照らされる金色の雲を、その笑顔を、もう少し見ていたかった。きっと青い夕焼けの中でも、同じくらい惹きつけられるだろう。
凪いだ心で的を射ることはできるのに、この別れ際はいつも、どこかすこし時化っている。
fin.

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