キスしないと出られない部屋【遼愁】

こちらの「キスしないと出られない部屋」をテーマにした4象限ワードパレットを使ったSS。
2024/9/22の横皆中の音7で無配にしました。

キスするのを:躊躇わない/積極的
キスは:しない/できない
指定ワード:勢いだけ あと数センチ 震え
お題:遼愁

せっかく恋人同士になったんだから、そのうちキスもするのかな。したい。でもなんて切り出せばいいのかはわからないし、勢いだけで愁を傷つけたくないし、正直に「いつしたらいいかな?」なんて訊けるわけもない。とはいえこんな状況は、想定していなかったんだけど。

「外から施錠されているわけでもないようだね」

冷静に扉や壁を検分しながら愁がつぶやく。殺風景な部屋には、ドアノブのない扉がひとつ。協力して押したり引いたりしてみたが、脱出条件が書かれた張り紙が揺れるだけだった。

「と、とりあえず、試してみる?!」

動揺がむき出しの声になったからか、愁はすこし困ったように眉を寄せた。「愁くんがイヤじゃなければ……」と小さく続けたが、さらりと済まされても複雑になるだろう。でも愁が閉じこめられたままなのはもっとダメだし、そのためならこの変な状況だって受け入れるしかない。

「嫌じゃ、ない――ただ、こんな状況は想定していなくて……」

愁の揺れる瞳を見た瞬間、胸の中がかっと熱くなった。悪い想像が吹き飛び、愁の手を取る。ぴくりと肩が震える様子も、遼平をたまらなくさせた。

自分たちは違うところばかりのはずなのに、どうしてこうも、強烈に同じだと感じるところがあるんだろう。

愁のやわらかなくちびるが、指先にふれる。その仕草を真似し、指先へ口づけを返す。どこにキスをすればいいかは書かれていないので、ひとつずつ。手の甲、肩、ほっぺたへ。
くちびる同士がふれ合うまで、あと数センチ。それまでに藤原家が総力を挙げて救出に来ることを、ふたりはまだ知らない。

fin.

積極的なのにできないのかわいい!なんで?!っていうのを考えた結果、力技になりました。普段こういうコメディオチをあんまり書かないので、書いてみたい!と思い。でも全然できないのはわたしがイヤだから、指やほっぺにはチューしてもらいました。
リクエストありがとうございました♪

送信中です

×

※コメントは最大1000文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!