偶然会ったと言えるから。図書館で会うのはそういう理由だった。なのに奥まった場所でひとりきりになるなんて、迂闊ではないだろうか。
「だめなのに――」
隠れるようにしたキスのあと、突き飛ばされるかもという危惧とは裏腹に返ってきたのは、やたら頼りのない声で。
「誰も見てないって」
「いけないことを、してるみたいだから……」
普段は冷静で、周りから大人っぽいと称されているのもわかる。だけど不意にする、八つも年下の相手なのだと痛感させるいとけない顔にはひやりとする。
「説得力ないぞ、その顔」
「静かにしてください」
「悪かったよ」
頭を撫でたら今度こそ距離を取られたので安堵した。またひとつ、抑え込んだ衝動が体内で澱むのを静弥は知らない。
もっといけないことをして、困らせてやりたいよ、本当は。
fin.
なぜかメイキングがあります。
https://twitter.com/215_643/status/1221454162619060225

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