こちらの「キスしないと出られない部屋」をテーマにした4象限ワードパレットを使ったSS。
2024/9/22の横皆中の音7で無配にしました。キスするのを:躊躇わない/積極的
キスは:できる寄り
指定ワード:焦らすみたい 敵わない 優しい
お題:湊静
悪趣味にもほどがある。これ見よがしな監視カメラも、無機質な脱出条件の張り紙も。まずは隠された監視方法がないか、確認するのが先決だった。
「そんなに怒るなって」
「怒ってない」
湊のほうこそ、危機管理意識が低いんじゃないか。こんなの、記録されたデータを悪趣味な首謀者に悪用されるとしか思えない。何より仲間内以外に、湊とキスをする仲だと知られているようで、それがいちばん気味悪かった。
「そうとも限らないんじゃないか?」
まだ? とせっつかれつつ部屋を調べているうちに、湊は暇そうに座りこんでしまっていた。
「おれは静弥となら、友達同士でもできたよ」
「そういうこと、軽々しく言わないでほしい」
僕なら優しいから? 後腐れがなさそうだから? もしただの幼なじみだけの関係のときだったら、もっと強く首謀者を恨んだに違いない。
調査に夢中だったからじゃなく、よっぽど頭に血が上っていたのだろう。肩を掴まれて振り向かされるまで、湊がそばに寄ってきていることにも気づかなかった。
「静弥だからに決まってるだろ」
責めるまなざしは強く、ほぼ反射で「ごめん」と口にしていた。焦りや不安、戸惑いでいっぱいになっていた心がしぼんでいく。
しかし湊が明確に怒っていたのはその一瞬だけだった。鼻先がふれそうなほど近づいて、低い声で「ていうか、」とささやく。
「……焦らすみたいなこと、しないでほしいんだけど」
そんなつもりじゃ、と言うより早く、呼吸ごと奪うように口づけられた。結局いつもこうやって、敵わないんだって思い知らされる。
fin.

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